第n回裏短コン「主役と名脇役」

  • 本記事は2015年に開催した「第n回裏短編コンクール」の結果稿を旧サイトから移植したものです。できるだけ当時のままの文章とし、修正は最小限にしてあります。
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主役と名脇役

みつかづ

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正解43 誤解0 無解2
得点 2.03 (15位)
人気投票 1位:0人 2位:0人 3位:0人
ベストタイトル投票:1人

みつかづ(作者)
「11枚の7手詰」という創作課題は案外難しいですね。収束で大駒捨てが入れられれば良かったのですが……。

★スマホ詰パラで50作以上を発表しているみつかづさん、初登場。

★本作は裏短コンの中でおそらくいちばん易しい。持駒がないので52からの脱出を防ぐためには42角成が絶対。そして続いて香筋を通すための64角も絶対ですね。これに対して41玉だと31角成の1手詰。取るしかありません。
★57飛が影から利いているので53香成とはできずに銀成。そして最後は王で王手はできないので31桂成迄の詰み。
★紛れはまったくないものの、細かいところが限定されているのがアクセント。

★残念ながら順位争いでは最下位に甘んじてしまいましたが、大駒2枚を立て続けに捨てる手順で、やるべきことはやっている。17作もある裏短コン、なにせネット上での開催ですから、こういう作品も絶対必要ですね。
★評点もちゃんと2点を超えました。

孫の手
易しい作品で参加してくださる方は本当に有難い。

★解図に疲れた時のオアシス的役割。

Hiro
角が主役で、飛の動きを防ぐ香が名脇役でしょうか。

河童生
主役は21王? 次々と脇役が登場しては消え行く。表題に、さだめなくとび散らふ落葉の風情を感じます。

★ロマンチック。タイトルの解釈もいろいろですね。

冬眠蛙
主役が見当たらない……。誤解?

divD
主役は誰?

山下誠
主役は桂馬、2枚の角は脇役だった。

奥鳥羽生
どれが主役でどれが脇役かが解明できない。57飛が名脇役かな?

園城寺怜
脇役は角として、主役は香車? それにしては動かないし……よくわからない。

たくぼん
さてどれが主役でどれが名脇役。主役は死なないので香かな。

彼方
主役は桂、脇役は角?

小林尚樹
主役とは玉のことか。家来たちが討ち死にしながら玉を守る姿がタイトルだと思うが、脇役というだけで主役の存在はわかるので、「名脇役」だけで良いと思う。

ほい
角さん角さんが脇役で桂さんが主役なのかな?

★たくさん予想が飛び交いましたね。

名無し名人
3手収束しか印象に残らない手順。いったい何が主役で何が名脇役なのか、謎は深まるばかり。21王は22とでも成立してそう。最終手が限定されるくらいしか双玉にするメリットはなさそうだが。オオサキさんのツイートで混乱したが、最初の予想通りみつかづさんかな。

もーたー
みつかず氏(根拠はない)

★お二人的中。

長谷川
成らず作品多い中で、成3回はむしろ新鮮かも。

★確かに。今回は不成が多かった。(根回しがあったからですが)

有吉弘敏
双玉の理由は?

桂花
ちょっと平凡。

三輪勝昭
僕は一目で作意手順が見えたけど、何か面白い紛れがあるのだろうか?

夏風
すごい逃れがあるのかと不安になる手順。

★せっかく双玉にしているのなら……という感じでしょうか。

まつきち
王手をしていたら詰んでしまったので、双玉の意味がわからなかった。54角合の逆王手なんかを期待したのですが……。

金少桂
裏短コンの客寄せ問題ですね。抽選だから仕方ないけど、1番上に置きたい問題。ただ、一本道すぎるのでもう一つ何か主張点がほしい感じ。

松尾 裕
面白くない。

中村雅哉
狙いが良く分かりません。

EOG
何ともストレート。

青木裕一
こんな角は捌くしかありません。

肉饂飩子
命名の意味がわからない。

kaga
双玉の味今一つ。

さわやか風太郎
双玉がまるで生きていない。

馬屋原剛
狙いがわかりませんでした。

後藤 満
双玉独特のスリル(緊張感)が欲しい。

h160se
コンセプトが不明。誤解してたらすみません。

★辛口評が並ぶのは、作品をよく見てもらえている証拠。

ほっと
おそらく入選歴が無い方でしょう。内容はもっと欲張ってほしい。厳しい短評も来るでしょうが、一流と呼ばれている作家も絶対にこんな時期があったはず。

齋藤光寿
狙いは角の連続捨てでしょうか?

不透明人間
双玉の意味づけは最終手?

すみしん
作品の狙いが読み取れませんでした。逃れ順や変化順に僕の読み取れなかった妙手順があるのでしょうか。

3時のおやつ
全くの平凡作。

tsumegaeru
手順にもう一工夫欲しい。

竹中健一
手順がイマイチ、タイトルも意味が分かりません……。

占魚亭
頭が丸い角は邪魔物。

ミーナ
この作品のねらいは、ズバリ最下位! 作品を提供してくださった、作家の方たち(主役)に決して恥をかかせないホスト魂。作者は鈴川優希(名脇役)で間違いありません(確信)

★素晴らしい解釈!

★さて、ここからは本作のおもしろさにどんどん迫っていきます。まずはikironさんから。

ikiron
57飛と33歩を省いて纏めてはいけなかったのだろうか。プレ短コンには出せなくなるけど。

みつかづ ⇒ ikiron

★今度は5手目53香成が限定ですね。ちょっとだけシンプルになりました。
★それをもっと大胆にやってみたのがオオサキさん。

オオサキ
素直すぎる手順で、題名の意図も21王の意味も分からず。何かを見過ごしていないか不安。51歩を桂に、57飛を無くして、右に3列平行移動させてはだめ? 9手詰になっちゃうけど。

みつかづ ⇒ オオサキ

★実質3筋より左は使っていないようなものだったので、端に寄せてコンパクトにしました。34角に対して11玉と逃げる手が生じるので、12角成で邪魔駒消去の9手詰。
★……あれ、じゃあまだ不要駒が。

みつかづ ⇒ オオサキ ⇒ 鈴川

★鈴川提案の図。こんなにシンプルになるんですね~。
★ニコ生の結果発表放送でこの図を紹介したところ、コメントで「積み崩しができそう」と。その着眼点、敬服します。
★25角、14銀、23角を続けざまに打って、それを順次成り捨てていく手順。積み崩しの理想ですね。ただ、23角だけは打ってすぐ捨てるわけにはいかないので、そこで何か別の手を挟む必要がある……ということを示唆して放送は終わりました。

★その後、いち早く実現してメールを送ってくださったのが金少桂さん。

みつかづ ⇒ オオサキ ⇒ 鈴川 ⇒ 金少桂

★22玉に対して34桂を打つ。するとそれが邪魔で34角と出られなくなるので23角のクッションを挟んで、全部捨てる。なんとも虫がいい手順ですね。配置はゴツくなりましたが、むしろこれだけで済むのか、とも思いました。

★手順成立のカギは、序盤の駒を積み上げていく過程で21玉と落ちられる変化。これの対処を考えながら駒を積んでいかなければいけないのですが、ここでは36角の開王手を用意して根本の香車を取られないようにするという意味付けになっています。しかし22玉型に対してすぐに36角とすると、43の角の利きが消えて左に逃げられるので、34桂は(後で邪魔にになるけれども)打っておかなければいけない、という仕組みでした。
★1段目の飛車は、7手目21角の余詰防ぎで致し方なし。初形の13歩も気になりますが、2手目の変化に必要。

★この図の変化紛れを調べているうちに、鈴川が見つけた図を紹介します。

みつかづ ⇒ オオサキ ⇒ 鈴川 ⇒ 金少桂
⇒ 鈴川

★金少桂さんの図から駒数を2枚減らしつつ、桂の捨合を入れました。歩合だと作意5手目14銀のところ歩が打てて詰みます。
★また、4手目15玉の変化も面白くて、48角の限定打に37飛成のヤケクソ中合が最善! 変化にヤケクソ中合が出てきたのは初めてのことでした。

★ここまで来れば詰パラレベルになったかも……、などと話していたところに登場してきたのが、三輪さん……である。

みつかづ ⇒ オオサキ ⇒ 鈴川 ⇒ 三輪

★手順は同じですが、配置がとってもシンプルに。
★金少桂さんの図で手順成立のカギだと言っていた、21玉と逃げる変化。三輪さんの図では開王手ではなく、11歩成を用意することによって割り切っています。
★なんだ、それだけか……ではありません。これによって飛を28に置くことが可能に。まあ原作に戻ったわけなんですが、香の裏から飛を間接的に利かせることで、香を動かす余詰をほとんど解消。先ほどの金少桂図では15手目から22香成、同玉、23銀成、21玉、12成銀という順があるために3筋に玉方駒で壁を作れなくて変化処理が複雑だったわけですが、そこを克服したのがファインプレーで配置を軽くできました。
★4桂配置の意味は4手目24玉の変化で42角に対し桂合を売り切れにするため。でもどの桂も飾り駒じゃないので特に目立ちませんね。

★僕としては、難解に作るよりも積み崩しを易しく表現したいと思っていたので、三輪さんの図はかなり好みでした。

★……さてその頃、みつかづさんは孤軍奮闘。自分の作品なのだから自分で改作したい……! そういう思いを実現させたのが次の図。

みつかづ ⇒ オオサキ ⇒ 鈴川 ⇒ みつかづ

★桂馬じゃなくて23香を打って崩す構成にしたのがみつかづさん独自の工夫。これで今まで苦労していた21角の余詰を防ぐために1段目に飛車を置く必要はなくなって、逆にそっちを作意に。
★さらにもう一つ。例えば三輪さんの図で8手目は11玉か21玉かが非限定ですが、これは金少桂図でも鈴川図でも生じていて構造上どうしても消せない……と諦めていた問題までもが解決。

★まさに原作者の面目躍動!と言えるでしょう。
★その半面、配置にちょっとしわ寄せがきてしまった印象。37成香は4手目24玉の変化で46角~37角とするための質駒。

★ここらへん、もうちょっとどうにかならないかな、と思いまして、推敲なら鈴川にお任せください。

みつかづ ⇒ オオサキ ⇒ 鈴川 ⇒ みつかづ
⇒ 鈴川

★今回の改作のカギは、ズバリ、持駒を銀ではなく金にしたこと。これで煩わしかった4手目24玉の変化などを消しています。
★待てよ……持駒が金……これでさっきまでの桂打の手順に戻してみたら、もう少しシンプルな図にできるんじゃないのか……。
★というのも、この香の積み崩しだと、初形で持駒に香を持たせておくわけにはいかない(初手16香などが強すぎる)ので、途中で駒取りになってしまうのが大きな弱点。桂に戻してはどうか。

★そしてもう一つ、鈴川が閃いたことが。
★下の図は三輪案で、6手目作意12玉のところ21玉と逃げた局面。ただし元の図から12歩が脱落しているので、これはすでに述べたとおり詰みません。

★じゃあ、ここから玉を12に誘導する手順を積み崩し風に入れられないか……。あれ、これってもしかして……ダンスの歩ができないか?
★具体的には、22歩、11玉、12歩、同玉、13歩、11玉、21歩成、同玉、12歩成、同玉という、詰将棋で稀に見かける手筋。こんなのが入ったら都合がよすぎるんですが、まあそんなに世間は甘くなく、最後12歩成のところで12角、11玉、22桂成、同玉、23角成の余詰が原理的に防げません。
★しかしちょっと待てよ……何もそこまで欲張らなくても、13歩じゃなくて23角と打って、11玉、21歩成、同玉として還元させればいいんじゃないだろうか……。

★原理的に成立していることは必ず実現可能だというのは若島正さんの言葉ですが、まあいろいろあってできあがったのが次の図。

みつかづ ⇒ オオサキ ⇒ 鈴川 ⇒ みつかづ
⇒ 鈴川 ⇒ 鈴川

★盤面貧乏対子図式。攻駒は香1枚だけ。形も手順も、好みのものになりました。
★今回のキーポイントは、3手目14歩の余詰防止の方法。いくつか前の図で桂の捨合がありましたが、代えて歩合とするとこのタイミングで14歩と叩けて詰むということはそこで書いたとおり。何が言いたいかというと、なかなか防ぎにくい余詰筋だというわけです。
★本図では、14歩には22玉、23歩、33玉、34金、42玉、43金、51玉以下逃れ。33からの脱出で逃れるとなると、作意18手目の33玉はどうなんだと気になりますが、これには34馬、42玉、43馬、51玉に61馬があって詰むというわけ。ここの折り合いの付け方がかなり難しかったです。

★このまま決着でも充分なのですが、次が本当のラストです。今まで考えてきたことを全部盛り込んで、序に捨合を組み込みましょう。

みつかづ ⇒ オオサキ ⇒ 鈴川 ⇒ みつかづ
⇒ 鈴川 ⇒ 鈴川 ⇒ 鈴川

★初手36角は27香に紐をつける限定打。銀の頭に打つのがお気に入りです。同銀には23角、15玉、16歩が地味ながら味のよい手。
★今度は3手目14歩の紛れをどう処理したかというと、24~15に抜けられた時、さっきと違って17とが16を守っているので……という理屈です。

★というわけで、ここまで続いてきた改作合戦も、皆さんが持ち寄ったいろいろなアイディアを統合することによって有終の美を飾れたのでした……めでたしめでたし。

★原作よりも改作がメインになってしまいました。まあしかし、それは原作の素材がそれだけポテンシャルを秘めていたということ。それがなければこんなに盛り上がりませんでしたからね。
★「主役と名脇役」って、こういうことかな?

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