第n回裏短コン「カルマン渦」

  • 本記事は2015年に開催した「第n回裏短編コンクール」の結果稿を旧サイトから移植したものです。できるだけ当時のままの文章とし、修正は最小限にしてあります。
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カルマン渦

彼方

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正解42 誤解0 無解3
得点2.66(5位)
人気投票 1位:3人 2位:15人 3位:3人
ベストタイトル投票:3人

彼方(作者)
流行(?)の中合動かし。最終手の感触は割と気に入っています。

★トップバッターを飾るのは彼方さんの本格派短編。さて。

★初手26桂には38歩合!が妙防で、同香、45玉、15飛成、56玉、57銀、47玉、46龍、38玉で逃れています。左側へ逃がさないためには初手56飛です。
★これに対して45玉は57桂以下早詰。56地点に抜けられるよう、あらかじめ中合して飛車を近付けておけばいいわけですね。
★ここで26桂と跳ねられたらいいのですが、今度は54地点が空くので逃れ。やりにくいですが46桂とこちらに跳ぶしかありません。26玉。
★だんだん見えてきましたね。23飛成、16玉、27金迄。この駒余りを防ぐには、中合を角にしておいて、23飛成を取ってしまえばいいのです。最後は桂をもう1回跳ねて浮遊感のある詰上り。角の利きをぴったり止める構図が素晴らしい。

★コメントにある通り、中合を動かすだけならよくあるテーマなのですが、桂の二段跳ねを絡めてまとめたのが妙味をかきたてます。
★タイトルのカルマン渦は、流体力学的何か。作者もよくわかっていないらしいですが 笑。

★好評ばかり並んだものの、意外に評価は伸び悩み、5位。やっぱり駒数が多かった?

夏風
中合を動かすのは最近頻出の構成ですが、桂の2段活用がうまく絡んでいて、妙味を増しています。

3時のおやつ
誘惑手順が多く正確な追求が要求される好作。締めの桂馬のスクリーンプレーもお見事。

長谷川
初手の桂跳ねが詰まないのはびっくり。最後も桂の二段跳ねと決まっていますね。

有吉弘敏
角中合を発生させ、さらに動かすのは非常に難度が高い。確かな技量を感じます。馬屋原氏と予想。

桂花
桂花手筋チックだが、微妙に緩んでいる印象。

★桂花手筋というのは、3手詰で限定合を出す手筋。(いつかこのブログでも解説します)

三輪勝昭
これ1番には向かないと思う。僕は易しそうなのから解いたから関係ないけど。
手順は半期賞級だけど、もうちょっと推敲出来ないのって気がしちゃう。
46桂が棋理に反していて、54に逃げられなくするためで成立させてるので大変なんだろうけど。
まあ、ベスト5に入る作品。
作者名予想難しい。馬屋原剛作。

オオサキ
二重に閉じて開くのが良い。タイトルもそれを指していると思うが、3種飛び駒の利きを遮り続ける38桂の動きに注目するのも面白い。

★なるほど、飛び道具の利きを遮り続けると表現しますか。いずれにしてもこの構図がいいですよね。

冬眠蛙
58銀を48香にすれば、27歩は省ける。まあこれだけ置いてあると、あまり響かないか。

★それ、2手目他合が割り切れなくなりません? (27金と歩を取れない)

もーたー
中合を動かしていることからネットの流行に敏感な人と予想。彼方氏?

★さすがの推理力。

孫の手
今や7手詰の王道となった中合駒の移動ですね。

divD
角を追いかける桂。

まつきち
打歩打開かと思ったら、中合をさせて動かす。移動距離が長いのが好感。詰め上がりも良く、高密度の佳作。命名の意図は、飛角桂が二度ずつダイナミックに動くところから取ってきた?

山下誠
中合で生じた角の利きを、桂の2段跳びで堰き止める。意表の展開。

★中合は予想できても、最後の桂跳ねで角の利きを止めるのは意表と言えるでしょうね。

金少桂
中合を動かすのは短コン募集期間に話題になってたからあまり驚かなくなってしまったが、最終手の感触がとても良いですね。
サインが盤面にないけれど、ツイートで『裏短コンで鈴川作を当てるのは無理!』とか言っていたので、これが鈴川優希氏作と予想してみる。

★僕だったら18と?

松尾 裕
赤羽さんの詰め上りを彷彿させる。

★赤羽(あかは)手筋とは、看寿賞を受賞した桂跳ねの詰上り。→昭和58年度看寿賞受賞作

名無し名人
動かした角中合の利きを最終手桂跳ねで止めるのは面白い。好素材だけに4・5筋の配置が惜しまれる。作者は彼方さんかな。意外と鈴川さんだったりして(笑)とも思ったけど、やっぱり違うよな。

★名無し名人さんは、作者予想がお得意。

中村雅哉
巧妙な手順。配置に創作の苦心が感じられます。

EOG
中合の駒を動かすのが短コンの基本ですか。角合と桂ハネと角移動がうまくマッチしている。

★そうですよね。それぞれ独立の「たし算」で作られているのではなく、「かけ算」として全体の構想に取り込まれているのが巧いところです。次の奥鳥羽生さんも同様の評。

奥鳥羽生
「中合を動かす」+「二段桂移動」が、とってつけたものではなく融合されて自然に表現されている。
前半の六段目の動きから後半の上段への展開を命名?
手順構成とタイトルから、馬屋原剛。

青木裕一
表の短コンなら好成績の狙いでも、この駒数でやられると微妙です。

肉饂飩子
変化に備えて46桂と跳ばせる仕組み。上手い。  

kaga
初手のみの紛れでは……。

さわやか風太郎
透かし詰は気持ちがいい。

園城寺怜
桂馬で角をアンピンして、最後にその桂馬で角の利きを閉じての透かし詰め。ちょっと手順にしては配置が重い印象。

★56角中合を打った局面では、その角は動かせません。これを「ピンされている」と言い、それを解除することを「アンピン」と言います。

馬屋原剛
もう少し配置を工夫できそう。

後藤 満
角の中合にはハッとさせられる。

たくぼん
中合の駒(角)を動かす鉄板ネタだが、最終手の34桂が入りさらに評価が上がります。

みつかづ
作意手順は角合だと思いました。2手目56香合が変化同手数駒余らずになるのが惜しいですが、飛車を成り捨てての限定桂跳ねが気持ち良かったです。

★上記の通り割り切れていますのでご確認を。

h160se
3日かかったことに敬意を表して。紛れの多いこと。

★やっぱりトップバッターには難しかった? でも抽選なので仕方ありません。

河童生
初手への応手は56角合、その角が動きます。桂の2段跳ねも素敵だよ。

ほっと
中合を動かすのは定番中の定番。で、中合を動かす際、線駒のラインから玉を移動させることでアンピンさせるのが良くあるパターンだが、線駒のラインに2枚目の駒を挟むことでアンピンさせるパターンは作例が少なく、この点は作者の創意を感じる。しかしこれなら玉を不動で表現したい気もする。

★ちょっとマニアックな評。ただ、桂の軌跡を考えると難しいかも。

ほい
中合を遠くに綺麗に動かして、好印象が持てます。紛れもあるし素敵な作品です。

齋藤光寿
桂跳ね二回が気持ち良かったです。

小林尚樹
飛車に対する角と桂馬の軌跡を言っているのかな。ただ専門用語そのままなんだけど、「カルマンの渦」とするとよりらしくなると思う。

ikiron
配置はやや大仰にも感じるが、最後桂跳ねで角筋が止まり詰め上がるのはピッタリした感じがあって気持ち良い。

不透明人間
タイトルが理科っぽいので、作者は鈴川優希さん。

★なるほど 笑。でももう一つ理系チックなタイトルがありました。

ミーナ
7手詰では定番の中合もの。でも、桂跳から読むのが人情ってもの。
タイトルのカルマン渦は角と桂でしょうか。最終手まで隙のない構成で、安定のトップバッター。
作者は原田清実。職人芸です。

★ミーナさんは作者予想をすべて詰パラ一流作家でまとめてきました。

すみしん
誤解により、柿木将棋による解答です。角合に気づきませんでした。合駒移動を7手詰での表現、ただ3作目成香の作品と比べるとどうしても駒数の多さに目が行ってしまいます。

★「3作目成香の作品」というのは、「この中に一人、成香がおる」のこと。こちらも中合(捨合)を動かす狙い。

tsumegaeru
密度の濃い手順。

竹中健一
駒数の多さが気にならないような手順!

占魚亭
行儀がいい。焦点に跳ねる最終手がいいですね。

コメント

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