第n回裏短コン「必殺技」

  • 本記事は2015年に開催した「第n回裏短編コンクール」の結果稿を旧サイトから移植したものです。できるだけ当時のままの文章とし、修正は最小限にしてあります。
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必殺技

小林尚樹

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正解42 誤解0 無解3
得点2.56 (6位)
人気投票 1位:2人 2位:0人 3位:3人
ベストタイトル投票:0人

小林尚樹(作者)
最近、切替ロジックにハマっております。
変同や変長までも覆い隠そうとするある意味で厚かましい(笑)タイトル。「必殺!」の方が臨場感があって良いかも。

★以前、1月1日の作品(※本記事末尾を参照)を紹介させていただいた小林さんが登場。Twitterを見るに、裏短コンのために試行錯誤を何度も重ねてくださったようです。

★裏短コンは1作目からずっと開王手モノが続いています。さて本作、飛を不用意に動かすと5筋脱出が見えていて、そして59飛などとしても58歩合、同馬、56玉で捕まりません。36銀からの両王手を試しても逃れ。
★角筋を止めてひじょうにやりづらいですが、55飛。ここしかありません。37玉は57飛の両王手で詰みですから46玉と逃げます。
★ここでもいろいろ手が見えて迷うところですが、55に銀が利いている状態では2度目の開王手は不可能と判断。結論としては持駒の金銀に物を言わせ、35銀!、そして尻金で45金と攻めます。
★37玉と逃げる変化にはいつでも57飛の1手詰が付きまとうので、35銀、同歩、45金、同銀と素直に応じるしかない玉方。55の利きが外れた瞬間、必殺技の59飛!が炸裂して、鮮やかな詰みとなります。

★筋違い角に飛車の遠移動はよくある詰上りですが、初手に飛車を浮いてバッテリーを作っておくところが主張で、スイッチバックのような味がある作品に仕上がっています。また、上下の角に対して、守備駒の配置の方法も対称的でおもしろいです。
★裏短コンの中では最も純粋な短編、というような作品で、中位層のねじり合いを制して6位に。もう一匙の驚きの要素があれば評点0.1の壁をクリアしてトップ5作の中に食い込めたかも。

まつきち
角道を止める初手と最終手のコントラストが良い。常に両王手の変化を含みにした金銀の打ち捨ても好感触で、解後感は抜群。タイトルは気持ちが伝わってくるような……。

冬眠蛙
個人的に、この詰上りは金子清志さんの「夢追いスナイパー」の印象が強すぎます。

★夢追いスナイパーは1988年詰パラ幼稚園に発表された5手詰の傑作(※本記事末尾で紹介)。

長谷川
2手目の局面で手が広いのでかなり迷いました。58にスイッチバックすることばかり考えていて、59飛が盲点でした。

有吉弘敏
短編作家としては、一度は手掛けたい詰め上がりですね。本作は初手の限定移動を入れたところが主張ポイント。(鈴川氏と予想)

★なんだか鈴川作っぽいと自分でもちょっと思ったりしました(※似た作品は本記事末尾で)。

桂花
最終手59飛は名作の香り。

三輪勝昭
これ2手目58歩合とすると、最後59飛と引けないので有効合とも考えられる。
まあ、7:3で無駄合で良いと思うけど、僕は3の有効合派。
作者予想=さわやか風太郎作。

★58歩合の場合、最終手57飛迄の9手駒余り。作者自認のキズ。無駄合かどうかはなかなかグレーなところです。

ミーナ
こうゆうのを振り飛車ってゆうんだっけ。横振りと比べると縦振りは珍しいか。配置が対照っぽくて、オシャレ。2手目合は無駄合でオケ……っと。
作者は上田吉一。スタイリッシュです。

中村雅哉
見かける筋だが、シンプルにまとまっている。あと、2手目58歩合がちょっとだけ気になる(最終手が59飛でなくなるので、厳密には無駄合と言い切れない意味があるかも)。

★まあこのキズがなければ詰パラに出してたかな?

オオサキ
初手37金が絶対だと思い込んで苦労した。両王手は強い。作意の遠引きも予定調和で良い。

夏風
捨駒をしてから55飛?と考え始めたのでやや苦戦。綺麗にまとまっています。

★36銀とか37金とか考えてしまいますよね。

もーたー
ネット専門の人と予想し奥鳥羽生氏。

★奥鳥羽生さんはネット専門じゃない……かと。

孫の手
飛車は15に開くかなと予想したら59だった。

★それで1作。

divD
必殺、最遠移動!……変化の両王手の方が必殺か?

金少桂
必殺技をちらつかせながら守備陣を牽制。潔く必殺技を食らうか、それとも最後まで回避するかは玉に決定権があります。

園城寺怜
『必殺技』は空き王手のこと? それとも両王手? 最後の変同のせいでどっちのことか分からず仕舞い。

馬屋原剛
必殺技とは両王手のことだろうか。既視感のある手順。

すみしん
必殺技とは、45金を37玉と逃げた際の57飛の両王手を示しているのでしょうか。私としては、上の解答手順にも挙げた同銀からの59飛の透かし詰めのほうが良い印象を受けます。

★作意は59飛迄ですが、必殺技の真意はどちらでしょうね。作者コメントからすると59飛のほうかな。

青木裕一
他に必殺の狙いの作品が多すぎて、必殺技感が薄いです。

★あー……。

山下誠
段取りよろしく、期待通りにスイッチバックを実現。

松尾 裕
28には逃げられない。

名無し名人
キワモノ揃いの中、数少ない正統派短編。これは自分の作品にしたいくらい好み。だからこの作品を名無し名人作と予想してくれるのを期待しています(笑) 小林尚樹さんかな。

★的中!

不透明人間
歩を多用した配置は好みです。この空き王手は名無し名人さん。

★いた~! 笑

EOG
55飛~57飛までの詰上りが第一感。変同?と思ったが割り切れていた。

★んっ、さすがに6手目37玉は割り切れていない。

奥鳥羽生
何回かこの必殺技をくらったが、色々なパターンがあるようだ。

肉饂飩子
これは最近の流行りだな。

kaga
飛の動きを買います。

さわやか風太郎
躍動感があり、大技一本といったところ。実に爽快。

後藤 満
フィニッシュを演出する退路封鎖が好印象。

★金銀捨てで力をためて、という緩急がいいですね。

tsumegaeru
中盤が少し退屈。

★と思ったらそういう見方も。

たくぼん
55飛から59飛はお約束みたいなもんでこの順から考えちゃうんですよね。上手いんだけど。

みつかづ
5手目が見えずに苦労しました。6手目変化同手数駒余らず37玉は57飛までで、大駒の利きを改めて体感できて楽しかったです。

★僕としては最終2手前の変同は、逆にプラス要素だと考えています。

h160se
54歩が残念な配置。もう少し工夫が欲しかった。

★54歩のおかげで初手に到達できた方も多そう。

河童生
58飛の動きを楽しんで下さいね、必殺技、少し大袈裟ですよ。

ほっと
綺麗に出来ているが、もう少し発展性がありそうな気もする。タイトルも今一つしっくりこない。

★ベストタイトル投票0人は残念。

ほい
きれいに決まった両王手。

ikiron
胸のすく詰上り。必殺技は両王手かと思ったがハズレ。54歩なく成立すればこの上なかったのだが。

3時のおやつ
何処までも追掛ける両王手地獄の影。

彼方
37に玉が行くと57飛で詰み。

竹中健一
これはもう定番!一目で解ける。

★解答王なら7手詰はだいたい一目では 笑。

★最後は必殺技の名前をお二人にどうぞ。

齋藤光寿
この必殺技は南斗水鳥拳と見ました。

占魚亭
アバンストラッシュ!


★以降、補足内容。(ブログ移転に伴い、サルベージしました)

旧my cubeの好作紹介記事にて取り上げた、小林尚樹氏の詰パラ発表作です。

小林尚樹
詰将棋パラダイス1999年1月号

初形をよ~~く見ると、「1/1」になっていて、実は年賀詰のようです(!)。
簡素な形から小気味いい手が続き、初形と最終形の対比もきれいに表現できています。
左上図で大量の持駒を捨てていく作風は、昔から変わらないようです。

続いて、結果稿中で触れた、「夢追いスナイパー」を紹介。

金子清志
詰将棋パラダイス1988年10月号

「夢追いスナイパー」

昔の幼稚園入選作。初手55飛だと57桂が邪魔駒になるので、あえて66飛~55飛としなければいけないのがミソ。当時の解答者からは絶賛されていました。

また、同じ詰上りは鈴川も一つ作っていました。

鈴川優希
詰将棋パラダイス2015年7月号

やっぱりスリルのある詰上りはいいですね。
個別の記事はまた別の機会に。

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