鈴川優希 詰パラ入選作 #56-60

入選56回 高校 2014.1

詰将棋パラダイス2014年1月号 高等学校

ABC平均
420691422.78

詰山解道 よく見れば七色図式。香打ちは最後に気付きました。

太○岡甫 こんなに広い玉なのにぴたっと手順は悉く限定されている。


詰上りからの逆算。駒を増やさず、七色図式にまとまって悪くないと思う。序盤がちょっと難しい様子。

入選57回 短大 2014.2

詰将棋パラダイス2014年2月号 短期大学

ABC平均
205191002.65

談○岳彦 角先角桂風味の2段中合を堪能。

野○賢治 無理作りの感もあるが、狙いの88角を成立させた作者の執念は凄い。


構想作。順を追って解説していこう。まず初手は香を打ってみたいところ。

24玉は29飛の1手詰なので、中合読みが始まる。
35香合は32と、24玉、29飛迄。35桂合または角合なら32と、24玉、36桂迄だ。この桂打を防ぐために、玉方は36にも中合が必要となる。

よって36桂合を考えるが、同香、35角合、32と、24玉、29飛、26歩合、同飛、同角、16桂、同歩、25歩、15玉、27桂迄で詰む(これを変化Aとする)。

つまり初手37香には、桂を渡さない36角合、同香、35角合が最善の受けとなる。いきなりの角2連中合はインパクトがあるはず。

ここで変化Aと同じように32とと指してみる。以下24玉、29飛、26歩合、同飛、同角、57角で桂馬をせびりにいくと……。

46桂合なら、同角、同香、16桂以下詰む。しかし35桂合とされてみると、同角、同角で26に穴が開き、16桂、同歩、25歩、15玉、27桂、26玉で脱出されてしまう。

つまり玉方の角先角桂に対して、攻方は角を桂に不利交換して変化Aに合流したいのだが、そのままではうまくいかないということ。
(角先角桂とか不利交換という言葉の使い方が正しいかどうかは諸説あるが、とりあえず伝わりやすい表現ということでご容赦を)

そこで注目するのは、問題の35桂合の瞬間に、先手の香の利きが止まるということだ。もし32とが42にあれば、35桂合にはすぐさま25歩と打つことができ、簡単に詰む。

だから、32とに替えて66角と打ち……。

24玉、29飛、26歩合、同飛、同角に57角と引く。これなら33地点への利きがなくなるので、玉方は46桂合しかなく、不利交換が成立する。

普通に迫ると攻方駒の利きが残って打歩詰だが、あえて持駒を打ってそれを退避することによって、利きを外すという狙い。ちょっと目新しい手筋だと思う。
構想だけを抽出して原理図を作るなら、こんな感じになる。

初手32歩成は12玉で打歩詰。
なので重く32角と打ち、12玉に23角成と捨てれば打歩詰が打開できる。以下同桂、13歩、21玉、32歩成迄。
……うーん、こうして見ると、そこまでおもしろい構想ではないかもしれない。

が、本作、これで終わりではない。

先ほどの66角と打った図。ここで合駒する変化は本当に割り切れているだろうか。

まず44桂合は、32と、24玉、29飛、26歩合、同飛、同角、57角で適当な合駒が売り切れでアウト。
また、あらかじめ角を近付ける55歩合には、同角、24玉に74飛、44合で33の利きを消してしまえば、25歩、33玉、32とで詰む。

玉方、万策尽きたように思えるが、ここは44香打が最善の応手となる。対して32とでは33に利きが残るのでやはり打歩詰に陥るし、44同角も詰まない。よって、44同銀成として、42玉、32銀成、52玉(同玉は35香以下)、54香、63玉、53香成、64玉、54成香と追うが、65玉で逃げられてしまう。

となれば、もう答えはお分かりだろう。そう、66角ではなく、88角!の遠打が実は唯一の打ち場所だったのだ。これなら、上の変化は55成香迄で詰む。

66歩合や77歩合などの中合の余地もあるが、同角、44香打合に同銀成ではなく同角と取れば、34歩~25香で簡単だ。よって合駒せず24玉と逃げるが、29飛~79角で不利交換が達成でき、変化Aに統合して詰上りというわけ。

いろいろあったが、これでも実は10手台。かなり濃密な手順となって満足している。

角2連合のところから正算で作り始めたが、まずこの収束ができて、66角のところがもう少し面白くならないかなと思っていたら、52歩・61銀の配置を見つけて88に限定できたというのが完成までの流れ。
限定打の意味が現れる変化の入口である44香打が、打歩物らしからぬ合駒なので、これを見逃したか20名の誤解者が出た。

なお、本作は後に第2回春霞賞の佳作に選んでいただいた。これにはちょっとした裏事情があって、賞の選考会を兼ねた2015年4月の詰工房が私の会合初参加の回。候補作紹介の時に「鈴川さんが大学に受かって上京されました。せっかくなので作品のアピールを」と言われ、上記の解説をその場で行った。それが報われてというか、相当プラスに作用しての投票結果だったと思われる。まあ、時効ということで。

入選58回 小学校 2014.3

詰将棋パラダイス2014年3月号 小学校

ABC平均
15815332.56

解説 水○創
☆本作、3手目ですぐに83龍と引きたいが、76玉のときに64馬が利いていて86龍とできない。そのため、一度65龍で馬筋をずらすが、その結果、83龍が捨駒になるというわけだ。と金配置を嫌う声もあったが、十二分に完成度を備えた作品となっている。


龍の限定移動っぽい感じ×2。
当時の詰パラが今手元にないので、短評を拾えなかった。

入選59回 高校 2014.3

詰将棋パラダイス2014年3月号 高等学校

ABC平均
29403702.51

北○正一 変化に自信はないが思ったより易しかった。9手目12角成としたいところを渋く33金がポイントか。

解説 仲○哲男
☆続けて打った2枚の角をワンクッション後、続けて捨てるのは作者らしい冴えた狙いといえよう。


原図は余詰があったので上は修正図。それによって豆腐図式になったのでそもそも推敲不足だった。
この図ならそれほど悪くないと思う。

入選60回 中学校 2014.4

詰将棋パラダイス2014年4月号 中学校

ABC平均
24783422.66

仲○利明 桂馬の利きに出る銀や馬の味よし。シンプルで紛れがある理想的な短編ですね。

久○紀貴 初手から25銀では何の面白みもないが、重く35銀~34銀~25銀と回りくどくいくのが面白い。直後の15金も感触のいい好手で、文句無く好作と思う。


これだけシンプルで、それでいて面白い手順になっているのでお気に入り。
2手目15玉には26銀が見えにくい手で割り切れている。

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