第φ回裏短コン「ビッグ4の召喚」

  • 本記事は2016年に開催した「第φ回裏短編コンクール」の結果稿を旧サイトから移植したものです。できるだけ当時のままの文章とし、修正は最小限にしてあります。
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ビッグ4の召喚

tsumegaeru

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正解41 誤解1 無解3
得点 2.74 (4位)
人気投票 1位:4人 2位:5人 3位:5人
ベストタイトル投票:4人 (3位)

作者
狙いは三連中合を含む大駒四枚(ビッグ4)の合駒。手順は完全限定で変同と最終手余詰はありません。
金銀桂合の選択肢を残したのが、こだわりポイントです。(そのせいで原図から盤面枚数が7枚も増えてしまいました)

★不動玉に金銀8枚打ち捨ての作品で看寿賞を獲ったことが記憶に新しい作者。それに負けず劣らずの野心作で登場です。

★異様な駒数の初形ですが、ひとまず68香と打ってみるところ。さて、何が飛び出るか。

★74玉には85と迄なので、このとき65からの脱出を期待してまずは65中合から読んでいきます。生半可な駒では52銀引生~85とがあるので、はっはあ65飛合だな。しかしそれでも、52銀引生~84と~85と~87とで捕まってしまいますね。となるとこれに備えて66合か67合で香を近づける必要があります。
★というわけで初手68香に66合を考えます。これは取らずにすぐ52銀引生から追うのがわかりやすく、74玉、85と、65玉、57桂!と跳ねれば合駒の種類によらず玉はどちらに逃げても1手詰ですね。このとき67からの脱出路も用意しておかなければいけません。

★状況を整理しましょう。玉方は67X合、同香、66Y合、同香として香を近づけてからの65飛合で85に利かせて受けるのが最善。そこでこれからXとYの種類を考えていきます。歩は二歩、香は売り切れ。X、Yの組み合わせは何通りもありますが、いずれにせよ2枚とも取ってしまい、65飛合まで到達した段階で持駒を使ってどう手を打つか。

★ここで持駒に金か飛があった場合、64に打ちこんで清算してしまえばいいとわかります。また銀でも、64銀打に74玉とかわす余地はあるにせよ、75に逃げられないため、84と迄の詰ですね。さらにさらに、持駒に桂があれば、65飛合の85への利かしを、75桂とすることによって遮ってしまえばいいのです。74玉、85と迄。
★したがって消去法により、玉方に残された選択肢はX=Y=角しかありません!

★さて65飛合に対して、持駒角2を得てしてどうするか。これには85角が74を塞ぐ絶好打となり、次の52銀引生が受からなくなりました。
★いや、玉方に奥の手あり。74飛合の逆王手! 最後に肝を冷やしますが、これには持駒のもう1枚の角を72に打ってやれば、これでどうあがいても詰みとなります。

★たかが9手、されど9手。このためにどれだけの読みを要したでしょうか。そして終わってみれば、玉方応手は角合、角合、飛合、飛合。無仕掛図式の初形から、詰上りでは大駒4枚フル出演。作者の情熱がこれでもかと伝わってくる作品でした。

園川彼方
9手で3連続中合を含む大駒4(+1)枚合という凄まじい手順。個人的には受賞級。

野々村禎彦
悪形を気にせず強引に狙いを実現する姿勢も大切だと実感させる大駒3連中合。2手目△66角合だと、右辺下段の配置が働いて同手数駒余りになると気付いてようやく解決。

kisy
この狙いならこの駒数は全く気になりません。駒数が増えても、こういう作品はもっと見たいです。

金少桂
これはすごすぎる。スケールがでかすぎて迫力に圧倒される手順。
やりたいことを、他の全てを二の次にして何が何でもやってやろうという強い情熱が伝わってくる。
私にかなり近い作風と思われるので、この作者の方とは非常に気が合いそうです。

馬屋原剛
名前と配置から期待できそうだったが、まさかこんな手順になるとは。田島秀男氏の7種合を髣髴させるすさまじい内容。一番のお気に入りの作品。

奥鳥羽生
ビッグ4+1回(最終手)、これこそが大駒である。
17手七種合(田島秀男)や17手金銀8連続打捨(広瀬稔)のように、スゴイというべき作品。
tsumegaeruさんのにおい。

園城寺怜
田島作の七種合を想起させる手順。

まつきち
小駒図式で、5度の合駒がすべて大駒。タイトルの意図は、玉方に4枚の大駒合をさせるところか。難度の高い構想の実現は高く評価。田島さんの短編七種合を彷彿させる。もう少し配置がよければというのは望蜀か。

★田島秀男への言及多し。あまりにアバンギャルドであったがゆえに(?)看寿賞を逃したという作品。

★僕としては「不規則連合モノ」というくくりであって、意図的に生み出せるという点で今後の短編界を支えうる魅力的なテーマの一つだという認識です。

有吉弘敏
実に大胆な手順構成。馬屋原氏と予想。

EOG
結構読まされたが最後は成程という感じ。

まっつぁんこ
考えあぐねた。

松尾 裕
居飛車穴熊を連想しちゃダメ!

★僕も最初にそれを連想しました 笑。

江市 滋
無理作り極まる形、手順だが、評価はしたくなる条件でもある。

おかもと
ビッグ4の招喚呪文は、洞窟の中で唱えるべし。大駒3連合は初めてかな?

山下誠
盤上にも駒台にも見当たらなかった大駒がタイトル通りに勢揃い。

原田椅子
この構想には恐れ入った。歴史に残る名作。

青木裕一
9手でこんなに合駒を出して大丈夫なの?と、思ったけど何とかなってました。
こういうのはtsumegaeruさんが作りそうです。

太刀岡甫
大駒4枚合の最短手数。この初形がベストなのかはわかりませんが、よくこの手順を実現させたもの。おかもとさん作と予想。

★55香と57歩を逆にしたら56歩は省けないかな……などと思いますけど、7手目の紛れがキツすぎるようです。

ミーナ
祈りを込めた遠香に、あらわれいでしビッグ4。他合の余地を残しつつ、最終手まで完全限定。
四神降臨、まさに神品。記憶に残る記録作。作者は金少桂さん。

Pathfinder
題名を見てまさかとは思ったが、玉方応手全大駒合は前代未聞。

齋藤光寿
恐ろしい作品。詳しい変化紛れを見てみたいです。

黄楊一輝
タイトルがほぼ答えなので、解くのは簡単だけど作るのは大変。tsumegaeruさんと予想。

後藤 満
2手目66角の変化に悩みました。連続逆王手の収束はスリリング。

不透明人間
と金以外の成駒を嫌った作図か。オオサキ氏作と予想。

★この構図で合駒されたら困るのは香だけなので、攻方香を除く3枚を置けばいいというだけですから成駒を避けたという感じではないと思います。

占魚亭
これは執念の勝利。

竹中健一
アイディアは面白いけど、どうせなら全部取って中編にしたいかも…

★そうなると、香打に対して4連中合で大駒4枚出してしまうことになりますか……。相当な難条件。まったくの別構想作という感覚ですが。

ぶじょー部長
合いは当然だが、まさかこの4枚をつかうとは。

久保紀貴
これは驚いた。実現させたこともそうだが、それよりもこんなことを思いついた作者の発想力に脱帽。最終手も合と書いたら蛇足になるので怒られるかなと思ってやめた(笑)作者予想は園川さん。

★ここからいくつか、ある意味お決まりの「すごいことをやっているけど好みではない」系短評。

三輪勝昭
こりゃ凄い事を考えたもの。
パズル的面白さは10点なんだけど、僕は駒がそのまま残るのが大嫌い。
それを減点した評価点です。
作者予想=オオサキ作。
理由は去年の作品のイメージからです。

名無し名人
よく作ったなという感想。作図難易度は相当高いだろうし、飛角以外の合駒も選択可能な状態で実現したのは凄いと思う。でもこの系統はどうしても好きになれない。ごめんにゃさい。作者予想=馬屋原剛さん。一番怪しいのは金少桂さんな気がするけど、金少桂さんは他の作品を予想済み。馬屋原さんも難条件作は大得意だし、前回優勝者なので高度なことをやってくるだろう。

虹色のルモ
合い駒が分からなく、これはギブアップ、詰上がりで盤面に大駒4枚出現を9手詰で再現とは凄い、駒が多すぎて好みではなかったです。(ソフト解答)

景山英貴
大駒4連続合駒かー。最短での実現は凄いが最長手数探しの作業感が強くて面白くない。金少桂さん。

河童生
次々に打ち上がる大輪の花火に喚声。舞台装置の大きさに、すこしイヤケ。

すみしん
タイトル通り、後手の着手が全て4枚の大駒。手順も豪快で私としては好きな手順です。ただ、初形の配置が多すぎるのがとても気になります。

桂花
分からないではないが、好きになれない。

★まったくツンデレなんだから。

大瀬戸
小駒図式から現れたのは……。

ほっと
「9手詰で、初形に4枚存在する大駒が詰め上がりで4枚とも消えている」→まあ誰でも思いつく。
その逆を行く「9手詰で、初形に1枚も存在しない大駒が詰め上がりで4枚出現している」→?????
これを着想して実現してしまうような作者は馬屋原さんしかいない。

★「これが大駒です」シリーズのちょうど裏返しとなる狙い。今回の裏短コンでの発表となってほんとうによかったと思う1作です。

前田康熙
9手で召喚してるのはすごいと思いました(小並感)

もラン
9手で大駒4枚合を実現したのは価値高しか?合いの意味付けは分かりやすい。

★9手でしか表現できない狙いという点でも裏短コン発表の価値高し。

オオサキ
これはデパートに投稿してくれてもいいのでは。

★渡しません 笑。


★最後に参考として、金銀1周8連打の作品と、最短7種合を載せておきます。

詰将棋パラダイス2015年2月号
広瀬稔

詰将棋パラダイス2013年11月号
田島秀男

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