入選101回 デパート 2015.12
詰将棋パラダイス2015年12月号 デパート
「ダウンサイドアップ」
誤 | 無 | 正 |
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0 | 0 | 47 |
解説:會◯健大
☆考えどころを少なくするということが最善の表現になることがある。本作、考えるところといえば「上から行くか、下から行くか」だけである。初手に73飛としてみて、取れば63飛以下詰む。しかし、85玉とされて、75飛成には96玉で逃れる。そこで初手75飛とこちらから打ってみると、83玉、73飛成、92玉には93飛で簡単に詰む。つまり、何気なく置かれている94歩が上下に非対称であることが、作意と紛れの非対称を作り出しているのである。一方、水面下の変化は対照的であるのも趣を生んでいる。初手75飛に同玉は65飛、74玉、73金、同玉、63飛成と作意をちょうど上下反転させたような手順で詰む。作意どおり83玉に73飛成とすれば、最初に検討した紛れの中の理想手順が実現して詰む構造も明らかに意図的である。
☆このような狙いを持った作品を作るにあたって、必要なのはその二つの幹の関係性だけであって、それ以外は夾雑物(きょうざつぶつ)なのである。したがって本作は必然的に変化紛れをそぎ落とした表現になるし、またそのように作ることが作者の腕の見せ所である。作者のセンスと手腕が発揮された一作といいたい。
ただの9手詰にものすごく丁寧な解説をしてもらえた。
タイトルは、上下逆さまを意味する「Upside Down」を、さらに逆にして「Downside Up」。
入選102回 短大 2016.1
詰将棋パラダイス2016年1月号 短期大学
誤 | 無 | A | B | C | 平均 |
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3 | 2 | 37 | 20 | 4 | 2.54 |
穂◯武史 33香と上がらせないためにはどうするか。打ち換えが入って好作になった。
原◯清実 34桂は同香でダメかと思っていた。しかも初手14桂が結構続くこと。
初手14桂と打ってみよう。12玉、23角、11玉、44馬で詰みそうだが、33香の移動合がある。
これは同馬、同香に13香から追っても、42が抜けており逃れる。
そこで、初手は14桂ではなく34桂と打って、42に利かせてやらなければいけない。
同香が大丈夫か気になるが、33角打(短打限定)、同香、同銀生、13玉、15香以下。
また21玉には、13桂、12玉、22桂成、同玉、33角(短打限定)、同香、21馬迄という好変化がある。
というわけで12玉以下、先ほどの手順で進んで合駒の局面。今度は移動合ができないので桂合だ。
これで3筋の香の利きが止まったので、34馬と寄れるようになった。
だが、桂を34から打ってしまったがゆえに邪魔となっているので、このタイミングで22桂成~14桂と打ち換え、そこで初めて12角成~34馬が成立する。
以下は、もう一度22桂成と成り捨てて清涼詰。
非常に簡素な形でそれなりに面白い手順だと思う。
キズとしては、10・14・18手目がすべて11玉・21玉の逃げ方非限定となっており、消そうとして消えるタイプのものではないがどうしても気になってしまう。
入選103回 ヤン詰 2015.11
詰将棋パラダイス2015年11月号
ヤング・デ・詰将棋
A | B | C | ※ | 平均 | 首 |
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49 | 22 | 2 | 3 | 2.64 | 31 |
詰◯松子 波が岩にぶつかっていく感じでなかなか詰み形が見えてこない。
原◯彦 予想以上に金打が早かった。
たまに作りたくなる「ゆる詰」。ヤン詰課題「5✕5の無防備玉」にあてはまったので投稿した。
主役が歩→金→銀と入れ替わっていく狙い。狙いと言っていいのか怪しいが。
入選104回 中学校 2016.2
詰将棋パラダイス2016年2月号 中学校
誤 | 無 | A | B | C | 平均 |
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8 | 16 | 79 | 11 | 2 | 2.83 |
真◯千秋 いかにも不利に見える移動合と76飛の意外性。
天◯瀬朔也 飛の捨合は当然すごい技だが、それを76飛の豪打で収束させたことに感嘆した。
発表図は変長があったので、上には修正図で載せている。
初手71馬を取ってしまうと、飛の守りが43から消えるので、56金~43龍で詰む。53歩合も同じ理由でダメだし、53金合は高すぎるので取って詰む。
そこで53飛の移動捨合となるわけだが、取れる馬を取らず逆に身を差し出す味がいいと思う。
収束は76飛の限定打が決まって、気分よくまとまった。逆算で作っているので当然ではあるが。
発表時に変長さえ見落としていなければ、半期賞もいけたような気がする。
入選105回 高校 2016.2
詰将棋パラダイス2016年2月号 高等学校
誤 | 無 | A | B | C | 平均 |
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5 | 38 | 30 | 5 | 1 | 2.80 |
福◯徹彦 95飛と捨てるのがかなり心細くてやりにくい。合駒読みも大変だった。
山◯誠 桂合を挟みながら、龍と馬の自在な活用が素晴らしい。
「駒三十九の26龍」にインスパイアされた作、第3弾。なお第1弾と第2弾は、これとこれ。
詰将棋パラダイス1965年9月号
駒三十九
ちなみにこの作は若島正氏が中学生のときに「わたしの詰将棋観に革命を起こした」として、『盤上のパラダイス』にも紹介されている。
『盤パラ』は詰パラの歴史が綴られた一般書籍で、最近復刊したので、詰キストならばひとまず読んでおくべし。
さて自作の話に戻るが、序がかなり難しい。
ぼんやりとした初手52馬引に、桂合。単純に66に利かせる意味合いだが、これとは別に銀合で83に利かせて守るパターンが強敵で、それには86銀、同玉、96飛、同玉、74馬、同歩と無理やり銀を回収し、以下87龍から割り切れる。
作意は桂合に95飛、同玉、97龍、85玉に96龍の突進が狙いで、ここが創作の出発点。
以下は2枚目の桂合が出てきて、それを跳ねさせて収束する。
最初の桂合の頭の丸さが仇になる詰上りなのがいいと思う。
地味な作品だが、無解38名の難解さとしっかりとした着地が評価されてか、2016年上半期賞を受賞した。
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