- 本記事は2015年に開催した「第n回裏短編コンクール」の結果稿を旧サイトから移植したものです。できるだけ当時のままの文章とし、修正は最小限にしてあります。
- 出題作一覧はこちら。
潜在シェルター
村人A 作
点 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
人 | 0 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 12 | 4 | 6 | 6 |
正解43 誤解0 無解2
得点 2.67 (4位)
人気投票 1位:5人 2位:6人 3位:4人
ベストタイトル投票:3人
村人A(作者)
ただの一発芸。
★忽然と現れた謎の作者、村人Aさん。双玉作品で登場。
★玉の周りを攻駒が取り囲んでいて、すぐに詰んでしまいそうですが、23のと金が浮いているのが都合悪く、14~23と34~23の逃走路が心配です。例えば初手36馬は34玉でどうしても脱出を防げません。
★そこで、36金と寄って、34玉に45馬捨が見えた方は鋭い! 同桂には尻金迄。同龍には腹金……おっと、逆王手がかかっているではないですか。
★というわけで、初手はこの攻方玉を逃がしておく必要があります。
★しかし37玉だと今度は最後に同桂が逆王手。45に桂が来ても龍が来ても逆王手にならない回避地点は……そう、ソッポに離れてしまう38玉、ここしかありません。
★後は予定通り馬を捨てて詰上り。謎が解けてスッキリするタイプの作品でした。
★余計な変化紛れがほとんどなく、とにかく玉の移動位置の違いだけで狙いを簡潔に表現。タイトルの潜在シェルターも解いた後に膝を叩くような巧いネーミングでした。
たくぼん
先手王の移動位置がテーマでこれだけきっちり創られているには始めて見た。今回の1番のお気に入り。
長谷川
面白いですね~シンプルな配置がいいです。企画に反する感性(笑)
有吉弘敏
最初は初手37玉で解きました。危ないところでした。(オオサキ氏と予想)
★なんとなく手なりに指していたら最後見落としそうです。
桂花
安騎的に唯一の安全地帯。
★安騎……ちょっと調べてみたら、2種類の駒の利きを合わせ持つフェアリー駒のようです。なるほど。
三輪勝昭
逆王手回避だけど、その理由が最後の同桂か同龍の時だけ。この単純さが良いのか悪いのか?
作者予想=奥村羽生作……とは思えないけどこれが残ったため。
オオサキ
逆王手されないところへの開き王手ならよくある話。それが45馬捨てへの2種類の応手だけでシンプルに仕上げられている。作者の卓越した作図力を感じる。優勝。
冬眠蛙
桂と龍だけでうまく限定できており、ちょっぴり新鮮な感覚。
★そうなんですよね。桂と龍のどちらにも対応できるのが実は一箇所という新鮮さ。
夏風
決め手の馬捨てに好感。16歩は不要では?
中村雅哉
面白い作品。16歩の意味は?
★その意味はこちら。
ミーナ
流れ弾に当たらないところはどこかなっと。16歩はなくてもいいんだけど、初手36金の紛れ用。
作者は愛上夫。四百人一局集で確信しました。
ほっと
逆王手にならないように開く初手が面白い……が、16歩は作意上では不要のようだ。これがないと、初手から36金とする紛れや詰方玉を37・38以外に開く紛れが16玉で逃れのため、狙いが成立しなくなる、というのは理解できる。しかしそれでも個人的には大きな減点事項。
★不要駒といえばそうなのですが、狙いのためには必要駒。僕が初めて本作を見たときはまったく気付かなかったのですが、さすがに解答者はよく見ていますね。
★ミーナさんが触れている愛上夫さんの作品は稿末で紹介します。
もーたー
王の行き場所の選択肢が広いのがよい。馬屋原氏。
孫の手
竜または桂の逆王手がある。唯一逃れるシェルターが38。面白い。
divD
唯一安全な場所。
まつきち
逆王手の逃れ筋を避ける初手発見がすべてだが、それほど難しくはない。69角を動かして捨てる筋に持っていきたかった。
★38玉、34玉、25角、同玉からの9手詰? 作図は難しそう。
山下誠
逆王手を避ける王の待機場所を探すのがテーマ。
金少桂
36金、34玉、45馬と進めてみて、待ったして初手をみつけました。全ては逆王手の空爆を食わないところへ玉を避難させてから。
松尾 裕
逆王手に注意。
名無し名人
逆王手が掛からない唯一の移動場所が38のソッポ引き。構図にセンスを感じる。青木さんか馬屋原さんかと思ってたけど、「肉ぼんの解図日記」で当初の予想が狂った(笑) 意外とこれがdivDさんかも。スマホ詰パラで最近攻方玉が移動する7手詰発表してたし。
★さすがに名無しさんもこの作者は当たりませんでしたか。
馬屋原剛
単純な36金が見えず少し悩んだ。王の自由度が高いのがよい。
EOG
36金がかなりの盲点だった。
★わかります。
奥鳥羽生
48は偽装シェルター、後に直下弾をくらう。
一手の意味付けという創り方から、青木裕一。
青木裕一
駒2枚で初手を限定できているのがよい。
オオサキさんは双玉じゃないっぽいので、作者はikironさん?
kaga
スリリングな味有り。
さわやか風太郎
タイトルが大きなヒント。45馬の焦点捨てが輝いている。
園城寺怜
45同桂や45同竜が逆王手にならない位置への玉移動。シンプルに表現していて好感が持てた。
後藤 満
シェルターさえ見つかれば……。
みつかづ
6手目以降同桂、33金の手順と解答手順(同龍、24金)のどちらが作意手順なのか分かりませんが、銀だと余詰になる為敢えて双玉にしての初手ソッポ、収束での馬捨てと見所がありました。この様な大駒捨てての収束は鮮やかで良いですね。
★「あえて双玉にした」のではなく、はじめから双玉ならではの狙いを設定して作ったのだと思います。
h160se
しばらく考えて38玉の意味づけに気付く。アブナイ逆王手。
河童生
初手、開き王手で王の移動できる場所は5か所。その内、4か所は竜と桂で狙撃されます。何処が安全なシェルタ-でしょうね。
★シェルターは未来を予測しないとわからない。だから潜在ですね。
ほい
5択だけどやっぱり正解は一つ!
齋藤光寿
この配置で玉の移動位置が限定されているのには驚きました。
小林尚樹
これは上手い!玉の移動佇まいをタイトルにしたのだが、紛れの方も意識したタイトル。この辺りがタイトルの難しさの限界だと思う。
ikiron
6手目同桂と同龍の両方に備える初手が面白い。配置もうまくピースが嵌っている。
作者予想は村人Aさん。
★ピースが嵌っているという表現、ぴったり。
不透明人間
タイトルが「位置エネルギー」っぽいので、作者はikironさん。
★位置エネルギーは記憶に新しいikironさんの看寿賞作。「塾で生徒から位置エネルギーという言葉を聞くたびにドキッとします」と言っていたような 笑。
すみしん
詰ますことができませんでした。柿木解答での感想です。45桂による逆王手回避の初手38玉が印象的でした。
3時のおやつ
流れ弾を避ける玉の唯一の地点。
tsumegaeru
初手の限定トリックが巧妙。
★作者は一発芸と言うものの、解答者にはトリックと言われるほどにまで本格志向の作品だったようです。
竹中健一
紛れを考えるとタイトルの意味が分かる仕組みですね!
占魚亭
逆王手に御用心。
彼方
唯一の安全地帯へ避難しておく初手38王が絶妙手。双玉ルールを最大に生かした傑作。
★なんというか、いままで玉という駒の利き自体を狙いにした作品はほとんど記憶に浮かびませんよね。
★先ほどミーナさんが挙げた愛上夫作がその珍しい狙いを含んでいました。
詰将棋パラダイス 1994年6月
愛上夫
★初手92龍は13玉で逆王手。よって攻方玉を逃がしておく必要がありますが、その瞬間に66に逆王手で中合され、龍の横利きが遮断させられるのが必至。
★玉の移動場所はいろいろありますが、65玉と逃げておけば、中合で後ろに利く駒をご馳走になれるというメカニズム。
★攻方による玉方の合駒限定という狙いが新しい上に、最後にも飛車合の逆王手が登場しておもしろい作品ですね。
★まだまだこの狙いは開拓の余地がある?
コメント