- 本記事は2016年に開催した「第φ回裏短編コンクール」の結果稿を旧サイトから移植したものです。できるだけ当時のままの文章とし、修正は最小限にしてあります。
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偽りの恋人達
ほっと 作
点 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
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人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 8 | 4 | 15 | 6 | 4 |
正解42 誤解0 無解3
得点 2.72 (5位)
人気投票 1位:0人 2位:3人 3位:9人
ベストタイトル投票:2人
作者
「双方が合駒を2手後に動かす」(2~4手目&3~5手目)が狙い。
しかし、2手目・3手目とも単に逆王手で受けているだけの手。そしてこれらの合駒に見える応手は、相手は決して手に入れることができない(=同○○と取れない。「取ると詰まない」ではなく、王手放置になるためそもそも取る手を指せない)。
これでは本物の合とは呼べない、偽りの合(愛)だ、ということでこのタイトル。(Jeff Beck『哀しみの恋人達』の捩り)
作品の欠点を思わせぶりなタイトルによって誤魔化す、という手筋。
良い子は真似しないように。
★「かえるのうたが」でちえのわ雑文集にも登場していただいたほっとさん。使用駒数11枚は今回の裏短コンの最小ですね。
★初手開王手は思いの外続かないので、53馬として様子を見ます。対して44打合は角筋が止まるので35金、17玉、12龍迄です。
★まあ見え見えですが、44角の移動中合が飛びだします。こちらも35金で逆王手を返すのが派手な応酬。
★飛を抜かれたところでちょっと手が止まります。34金かな?と思っても44歩合でどうしようもない……。
★ここは36金~35馬が一気に収束に導く好手順で、最後はすべての駒が働いての詰上りとなります。こんなにスッキリ決まるのは嬉しいですね。
★作者の真の狙いは上にあるとおりなのですが、これに気づいた人は実質なし……。しかしそれがなくても、「なんかいい」という評が並び、5位はお見事。
有吉弘敏
計算された攻防、無駄の無い配置。
馬屋原剛
とてもきれいな作品。表短コン向き。
三輪勝昭
簡単だけど虚々実々の応酬の好手順。
作者予想=馬屋原 剛作。
理由は去年の作品のタイトルの付け方が似てるから。Pathfinderさんの短編のイメージがないけど、Twitterでタイトルに悩んだようなのでこれを予想してみるか。
奥鳥羽生
いったん53に馬を据えてから。
金少桂
愛なんて信用できないものですね。やはり愛は享受するものではなく、与えるものです。
詰め上がりの36玉は、そのことをよくよくわかっていると思います。
EOG
易しいが上手い組み立て
梶谷和宏
36金がいいですね。これは巧作です。
松尾 裕
派手だなあ。
kisy
ドンドン捌いていく感じが楽しかったです!
江市 滋
シンプルな構造だが、ストーリーが出来ているところがいい。
名無し名人
開き王手に釣られてこの初手は最後に考えた。作意は軽くていい感じ。綺麗に出来ている。
作者予想=齋藤光寿さん。タイトルが前回の『悲しげな駒たち』と似ているから。ただ『たち』がひらがなと漢字の違いがあるのが引っかかる。わからん。
★この予想は納得でした。ほっとさんとはなかなか思わないですよね。
虹色のルモ
駒がどんどん交差して、近付いては離れる、最後の角と竜のカップル成立でめでたしめでたし?
おかもと
丁々発止の攻防。きれいにさばけて気持ちがいい。
まつきち
86馬、33角、46金がそれぞれ二段活用されるのが好印象。洗練された好作。
★二段活用というのが全体を好印象にしている要因かも。
野々村禎彦
逆王手の応酬に続けて、香筋の表裏に連続捨駒。詰め上がりも意外性があり、作意手順は文句なしだが、他に有力な紛れがないのですぐ見えてしまうところが惜しまれる。
まっつぁんこ
ややこしい双玉作が多かったがこれは簡単だった。なぜかはわからない。
景山英貴
恋人の組合せが分からん。オオサキさん。
tsumegaeru
ダイナミックな手順。
山下誠
逆王手、空王手、両王手と多彩な手順を経て、隠れていた龍が最後に働く。
大瀬戸
一番捌けていると思う。
原田椅子
ちょっと外してくるところがいいねえ。美しいねえ。
青木裕一
逆王手のスリルが最後まで続く作品。
内容とタイトルの感じから馬屋原さんが作者だと予想します。
太刀岡甫
2重に塞がれた角筋がすっと通るのが壮観。全ての手が捨て駒なのが良い。
ミーナ
野球のバッテリーではキャッチャーを女房役という。詰棋の世界でふたつのバッテリーを掛け持ちする、偽りの恋人はやはり金だったか。作者は青木さん。
★巧い。
桂花
危なっかしく決まっていて、スリル満点。
Pathfinder
一連の攻防が面白かったです。
河童生
遠くから鉄砲。攻防の妙、双方の王手のやり取りに酔いました。
齋藤光寿
少しずらしていくような手順。最後はピタリと決まる。
黄楊一輝
細部まで巧く出来ていますね。小林さんと予想してみます。
後藤 満
逆王手の応酬に両王手…。虚々実々の駆引きはまるで恋模様?
不透明人間
詰め上がりがスマート。園川彼方氏作と予想。
すみしん
55金、17玉、16飛、同玉、12龍、26玉、59馬、36玉、37馬までピッタリ9手
と思っていたら誤解してました。
2枚大駒を捨てての詰上がりは私も好きな手順です。ただ、タイトルの意味がちょっと分からなかったです。
★それで1作、ものにするという……。
竹中健一
分かりやすい狙いだけど、うまく纏まっている気がしました!
園川彼方
あえて逆王手をかけさせる。
オオサキ
綺麗にできているけどタイトルが謎。角が戻ったらもっとよかったかな。むりかな
前田康熙
スッキリ解けてよかったです。
もラン
いかにもすべての駒がそれぞれ絡みそうな形。無駄がなく11枚あるとは思えないスッキリ感がある。
園城寺怜
何度も並べたくなるような気品のある手順。ごちそうさまでした。
ぶじょー部長
両王手をめぐるギリギリの戦い。
久保紀貴
最小限の配置に面白く綺麗な手順。非の打ちどころがない。作者予想は鈴川さん。
占魚亭
35金のタイミングが肝。手の流れがよくて好みです。
★オール好評でしたね。
★唯一の心残りは、
作者
タイトルが捻りすぎだったためか、狙いが非常に伝わりにくくなってしまったようで反省。
★やっぱりこれか……。
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