- 本記事は2016年に開催した「第φ回裏短編コンクール」の結果稿を旧サイトから移植したものです。できるだけ当時のままの文章とし、修正は最小限にしてあります。
- 出題作一覧はこちら。
王≠玉
おかもと 作
点 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
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人 | 0 | 0 | 6 | 7 | 9 | 2 | 5 | 9 | 4 | 1 | 0 |
正解43 誤解0 無解2
得点 2.40 (17位)
人気投票 1位:0人 2位:0人 3位:0人
ベストタイトル投票:1人
作者
王と玉は字が違う。これを詰将棋で表現しようということで、9種順列移動を作ってみました。めざせ最下位(笑)
★裏短コンもここから後半戦といった感じですね。作品集『竹馬』が記憶に新しいおかもとさんの作品。
★双玉で見るからに逆王手が飛んできそうな初形。23馬などもちらつきますが、とりあえず48玉から考えていきましょう。中合があるかもしれませんがひとまず無視して45玉。
★57桂跳や46歩~37金もそれっぽい手ですが、どうもうまく捕まらないようです。23馬で合駒を訊いても、歩合でなんともない。うーんじゃあやっぱり初手が安直すぎたかと戻って考えても、どうもこれといった手がなく筋に入りません。こうなると泥沼。
★実は45玉のときに44金と桂を取ってしまうのが盲点になりやすい手。同玉に、63角がどいていてくれれば……と考えると、桂を取る前に85飛と捨てておくのも見えますね。
★というわけで、48玉、45玉、85飛、同角、44金、同銀、37桂……としたところでアッと叫ぶことになります。そう、同香成が逆王手。
★したがって初手は49玉とソッポに行く必要があるんですね。最後になって気づくというのは理想的な構成かと思います。
★ところで、このままではまだ作者の狙いを理解したことにはなりません……。タイトルの「王≠玉」とは。
★その真意を理解できた方々からのコメントを紹介。
Pathfinder
作意手順「王⇒玉⇒飛⇒角⇒金⇒銀⇒桂⇒香⇒歩」になっている!王も含めた作品は見たことないです。
tsumegaeru
順列詰ですが、王から始めるのが珍しいですね。
齋藤光寿
解答を書いて気づく狙い。初手が最後に利いてくるのがいいですね。
太刀岡甫
手順(逆)順列9色ですか。タイトルがヒントになっていますが、すぐにはわかりませんでした。王手を避ける初手が味わい深い。
★やっぱり若手はやっぱり柔軟な発想が得意なんでしょうか。気づいたのは確かな観察眼の現れです。
★以下はちょっとズルをして狙いに気づいたお2人。
ほっと
最初解けたときは狙いがわからず。王→玉→飛→…→歩の順列9種手順であることを某会合で知る。ついでに作者も知ってしまう。
しかし駒取りはどうにかして避けられなかったものか。
久保紀貴
何かあると言われなければ気付かなかったが、9種順列着手なのか。あまり優れた作品とは思わないが、裏短コンらしさは感じる。作者予想はおかもとさん。
★そして厳しい人。
江市 滋
順列九種攻防手――ということかと思うが、“香成”表記となる時点で、私は評価する気になれない(まして、不成でも可では)。
良くも悪くも、もう一段上げてどうなるか、だろう。(そうなると、某氏作とかなり構造が似てしまうが)
★順列詰はすでに世に何作もありますが、Pathfinderさん、tsumegaeruさんのおっしゃるとおり、王から始めてやろうという発想が珍しい、というか史上初というレベルですね。
★「王≠玉」というタイトルが、意味がわかった瞬間に、とても味わい深く感じました。
三輪勝昭
手の意味が全て単発的で底が浅い。
★その数日後に、
三輪勝昭
「王≠玉」のタイトルの意味がやっと分りました。順列指し手でしたか。
このタイトルでピンと来たら大したもの。なので、ちょうど良い謎解きになっていると思います。
このタイトル必須の企画を生かした作品なのは素晴らしい。
★と好評。
★狙いに気づいたのは解答者45名中8名。ちょっとタイトルが難しかったですかね。「一気通貫」ならわかったのに、という声をどこかで聞きました。麻雀の例えでちょうど9枚でぴったりですが、深和さんが以前小学校にそういうタイトルの7種順列作品を出していたので被ってしまいますか。
★他は主に、初手に注目した短評がずらり。
馬屋原剛
駒取りの44金が期待外れ。タイトルの意味が気になる。
奥鳥羽生
最後にアッと叫び初手を訂正。
金少桂
この形なら誰でも最初は48王と指してしまう!
一度でも待ったしてもらえば作者の方は満足でしょうね。
EOG
44金を発見するのが大変だった。
梶谷和宏
なんとなく48玉ではなさそうという匂いがしています。
松尾 裕
双玉特有の罠に注意。
kisy
駒取りは少し残念です。
名無し名人
初手48王では最後逆王手がかかるから49王とするのが狙い?ただ88飛の横利きを通したいので何となく49王と指してしまう。
作者予想=金少桂さん。最初はオオサキさんあたりかと思ったけど、オオサキさん(というか大半の作家)なら43金64金はと金にしそう。金配置は金少桂印という読みだが(実際に敵陣金配置率が高い)、作風と違う気もする。わからん。
虹色のルモ
玉が斜め後ろに引けば王も引く、周りで駒が暴れるけど堂々としている姿はまさに王、最後突き歩で詰んでしまうのはコメディを表現なのでしょうか。
まつきち
飛車と桂を捨てて突歩詰までソツのない仕上がり。44金と駒を取る手がやや盲点だった。
初手の意味がすぐにはわからないのは良いが、不利感はあまりない。また2手目や4手目に中合を期待しただけに、ちょっとあっけない感じ。
野々村禎彦
冷静に考えるとこれしかない手順だが、なぜか盲点に。爽やかで実に解後感が良い。
まっつぁんこ
4四金がえらい盲点でむずかしい
景山英貴
逆王手回避。園川彼方さん。
山下誠
もう少しスリルのある展開を予想したが。
大瀬戸
44金に気づけず大苦戦。
原田椅子
初手の玉ソッポに高い創意を感じる。
青木裕一
逆王手回避だけど、それだけになっちゃっているイメージ。
ミーナ
これは実は後手番で、58王を詰ますんじゃなかろうか。63角と27金が怪しい。
持駒銀3でミニ趣向ができるけど、最後がスッキリせんなあ。
作者はtsumegaeruさん。
桂花
48と49、どちらが有利そうにも見えないのが惜しい。
河童生
捨駒より最初の2手に共感、遠ざかる双王に乙女心の晩秋の感傷。
黄楊一輝
初手の発見に手間取った。
後藤 満
後で気付く初手の選択。この軽快感は好きです。
不透明人間
あまり双玉らしくない。
すみしん
ほぼ捕獲されている状態からの攻防、最後の突歩詰は私には予測のできない詰上りでした。
竹中健一
狙いがよくわかりませんでした…初手のみか?
園川彼方
初手48だと逆王手で逃れるのが狙い?
前田康熙
44金の感触がちょっとよくないですか
もラン
57に合は無駄になるが何か気になるところ。妙味は薄い。
園城寺怜
逆王手を回避する深謀遠慮の初手。つなぎの部分がやや弱い?
ぶじょー部長
王の場所が全て。
小林尚樹
うまいもんですね…でもタイトルの意味不明^^;
占魚亭
初手48王だと37桂と打てない。双玉ならではの意味づけ。
★去年の作品と比較された方がお2人。
有吉弘敏
逆王手を避けるための玉移動は昨年も同じテーマがありましたが、合駒以外の単純な駒取りはできれば避けたいですね。
オオサキ
狙いが分からない。もし逆王手回避の49王が狙いだとしたら去年のシェルターと比べて弱すぎる。
★村人Aさんの潜在シェルター、結果稿はこちら。
★本作の場合、例えば85飛、同角で出てきた角の利きに入らないように、とか、85飛に中合されたときに逆王手にならないように、とかの意味づけで玉の移動箇所を1つ1つつぶしていくような構想が入れば評価も上がったと思います。
★まあ作者にとっては順列詰の狙い一筋でいく予定だったのでしょうが、なかなか伝わるのに苦労したのが悔やまれます。
作者
投稿時に「めざせ最下位」と書いたけど、達成できるかな?
★それでもスリルのある中段玉作品としてそこそこ、といったところですかね。
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